2009年12月8日火曜日

ボリンジャーバンドの謎 その2(統計学??)

--- (わかりにくいので追記)サマリー -------------------------------------
BBandの1σ以内に68%とか全くそうなりませんよ、数えてみましょう
そもそも、正規分布じゃないもの(=価格そのもの)の標準偏差は無意味

対前日比率(短期なら差でもOK)は、正規分布。こちらの標準偏差は意味がある。
これを一般的にHV(ヒストリカル・ボラティリティ)と呼ぶ。

チェキさんが、MT4でも検証してくれました。→価格変化率ボリンジャーバンド 

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以前、ボリンジャーバンド(以下B-Band)の謎という投稿をしました。

投稿内容は、統計学的に±1σの範囲内に約68%、±2σに約95%収まるという触れ込みのボリンジャーバンド(以下、B-Band)について、本当でしょうか?ということで数えてみたら、そうではありませんでした。
※開発者のJ.ボリンジャー氏は前にも書きましたが「統計学的には全く意味がないもの」と述べてるそうです。


ということで、今回は再チャレンジ。
まず、データ。前回は日経平均株価の日足終値、一年弱分(200個強)でしたが、今回は特に理由はありませんが為替スポットレート(Bid)にしてみました。
ドル円日足終値(NY-CLOSE)で、3年分(2006年12月5日~2009年12月7日:752個)

今回は、元のデータの分布をそのまま眺めてみます。
図1のようになりました。平均:105.52、 標準偏差(σ):10.75
直観的に、正規分布に程遠いコレ(レートの分布)を統計分析しても意味ないだろう?とは思いますが、(B-Bandはやっちゃってるのだが・・・)念のため正規化(正規分布と比較できるように縦軸、横軸を調整)したのが右側の図2になります。


あきらかに正規分布と呼ぶには無理があります。
やり方(分析手法)は間違ってないけど扱うもの(対象)が違うだろう、最高級のマサカリで豆腐を切って豆腐がボロボロみたいな感じ(?)
3年じゃなくて20日程度なら大丈夫だろうという話もあるが、本質的に違うと思う。せいぜい、豆腐はダメだがジャガイモならそんなに潰れないよぉーレベルの話かと・・・。



手法はいいけど、扱う対象(DATA)が違うということなのだろう。19日前も10日前も当日も同じくまとめて比較するので価格そのものは正規分布しないと思う。豆腐じゃなくてジャガイモならなんとか切れますよ、、みたいな感じ?

うーん、例え話のつもりがかえって意味不明に。。。
先に結論。
要するに、単なる株価(為替も)の値位置の分布をボリンジャーバンド的統計分析するのは無理というかそもそも間違ってる、前日比(前週比なども)の分布は意味がある。
正規分布してないものの標準偏差を求めてどーするのよ??

というのが結論。たぶんだけど。


今日の価格(値位置)は昨日の価格(値位置)の影響を受けるのだから。 (39900円の翌日6900円には動かない、360円の翌日に79円台にはならない)
ランダムテレポートじゃなくてランダムウォークなんだから。


次に、前回はいきなり日次収益率(前日比率)で考えてしまい率ならOKみたいなことを書いてしまったわけです。
今回まずは、日次の変化について眺めてから視点を拡げてみます。



図3は、前日比(差)つまり、1円20銭上がった下がったという差、要は引き算です。正規化してます。
図4は、前日比(率)つまり、-0.8%とかいうやつ、要は割り算を正規化。









図5は、前日比(対数)を正規化。一般的に株価などは対数正規分布すると仮定することが多いようです。


どうやら、価格そのものを分析の対象にしたのが(B-Bandの)謎の原因だった模様。
価格そのままじゃなくて変化を対象にすればB-Bandは統計的な意味を持つのだろう。(相場の武器的な意味は不明だが)
前回、「差で見るのか率で見るのかの違い」みたいことを書いてしまったけど、それもあるだろうが「価格位置を見るのか変化を見るのかの違い」ということでした。

ついでに、差(引き算)ではなくて率(割り算)、贅沢言えば対数比の方がもっといいと思います。(差でも率でも短期ならあんまり関係ない、長期は大いに関係あると思う)

そして、日次の変化率を対数で見て、それを何日分か使って標準偏差計算したものを年率換算してるのが、一般的なHV(ヒストリカル・ボラティリティ)です。

じゃあ、なんでなの?ということだけど、「時系列分析だから」って以上の説明をする能力はありません。なお、変化は期間が一定であれば日次である必要はないと思います。
逆に、20日間で何がわかる?といのも(サンプルとしては少なめであるが)おかど違い。ついでに30銘柄のDJIで何がわかる?というのもおかど違い。

ついでに、B-Bandの式をよく見てみると(20日なら)、今日時点のσは、今日時点の移動平均(MA)と20日間の各終値を比較してます。
つまり、価格そのものを分析してる。
そうではなくてこれを今日の終値は今日のMA、昨日の終値は昨日時点のMAと、・・・、という乖離をみれば、また別の意味が出てくるだろうか?
ということで、全部をグラフをしてみた。




±1σに約68%が入るのは、どうやらHVだけでカイリ率(幅だけど)B-Bandと同様の模様。
前回、B-Bandは順張りして逆張りするならカイリ率みたいなことを書いたが全くもってお恥ずかしい。






以上、あくまで統計学的視点なので相場に意味があるかないかは不明。そもそもテクニカル指標に意味を見出そうとしてる時点で意味不明だと個人的には思いますが。
正解も不正解もない世界なのだから。

余談ながら、±1σには変曲点(凹と凸の境目)という意味があると思うがが、±2σには何の意味もないと思う。±2σよりは、(VaRで一般的という)±2.33σの方が多少意味があるかも、、、知れない、いや、やっぱり無いな・・。





ただし、1つだけ確実に言えそうなことは、J.ボリンジャー氏自らが言ってるように「ボリンジャーバンドに統計学的意味は全くない」にもかかわらず、統計学的に意味があるという説明が至るところで成されてること
これこそ、ボリンジャーバンドの謎である。もしかしたら世の中(というより私の頭の中)お門違いの嵐なのかも知れない。






※このHVのEXCELファイルはキチンと作り直して、週末にでもUP予定です。
EXCEL用のデータなら、TAB区切りが使えるなのでダントツでここ(↓)が便利です。(なぜ、そこをアピールしない?)
システムトレード

以上、意味があるんだかないんだか、正しいのか、またしても(?)早とちりなのか、よく分からないけど、あぁースッキリしたぁー

1 件のコメント:

チェキ さんのコメント...

せっかくリンクしてもらっているので、インジケーターを追加して持ち帰りが自由にできるように記事を修正してみました。