2011年7月10日日曜日

通貨投資戦略

通貨投資戦略 というシティバンク在日支店の人が書いた本についてです。

某有名ブログのコメント欄かなにかでこの本を知り早速読んでみました。
シティグループのFXクオンツチーム「クオンツ・インベスター・ソリューションズ」に
所属する人などが書いてますが個人金融部門の人が(たぶん)個人投資家向け
に書いて本だけあって平易に説明してありました。

基礎知識のほか、インデックスモデルやキャリートレード、クオンツ戦略やその落
とし穴などが説明されており興味深く一気に読めました。

2009年12月初版の本なのでリーマンショック時の好成績だったモデルの過去最
大ドローダウンの原因分析結果の簡単な紹介なども。

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通貨投資戦略 目次(大項目)
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第1部 通貨投資の基礎
・新しいアセットクラスとしての通貨
 なぜ今通貨戦略なのか/為替市場の非効率性/通貨取引を用いた新しいポートフォリオ戦略・通貨取引戦略の歴史
 ブレトンウッズ体制までの為替市場/為替市場の発展と通貨取引戦略の登場/グローバル時
 代の為替制度と通貨取引
・通貨戦略を理解するための基礎知識
 為替フォワード取引/パフォーマンス指標の読み方(正規分布~アップレシオ)/レバレッジ


第2部 通貨クオンツ戦略の実際
・通貨クオンツ戦略とは何か
 カレンシー・ファンドにおけるクオンツ/クオンツの落とし穴/クオンツ・モデルが崩れるとき
・トレンド戦略
 トレンド・モデルの理論的基礎/通貨トレンド形成のメカニズム・キャリー戦略
 キャリー・トレードはいかにして有効となったか/キャリー・トレード概論/キャリー・トレードのリ
 スク管理/キャリー・トレードと外国債券投資
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以下、余談的になりますが、
トレンドモデルの章のなかに、”あくまで説明用として”移動平均とのクロスによる単純な売買検証
が紹介されてました。
・対象:EUR/USDスポット日足
・検証期間:1999年1月~2009年2月。つまり、ユーロ誕生来の全期間(執筆時
・売買ルール:終値と移動平均のクロスで途転。利食い、損切りはなし。
・移動平均パラメータ:10~500本、10本刻み
・コスト:スプレッドは0.03%(平均3PIPS強)


検証結果→全てのパラメータで損益プラス と紹介されてる。
(あくまでトレンドモデル説明用の事例で、検証結果が云々とかが趣旨ではない)


とはいえ、、、まじ?ただの移動平均ブレイクの途転システムでしょ?
と疑い目線のまま自分で検証してみました。
(そーいう意味じゃないんだよ、って著者に怒られそうだけど、それが人情ってもんでしょ??)
検証データ他の事情により若干ルールは異なりますが、相違点は以下の通り。
・検証期間:2001年12月3日~2011年7月8日
・コスト:スプレッドは2PIPS
・その他の条件は上記通り


結果は全部のパラメータがプラスではないですが似たような結果でした。
横軸は移動平均のパラメータで縦軸は損益(PIPS)














パラメータが260日(約1年)と140日(約半年)にピークがあるのは、たまたまの気もしますが
興味深いとこです。
それより、トレンド出やすい銘柄選択して時期を選べば、細かいことは何でもええんだよってこと
で、ポートフォリオのアセットアロケーションが命でしょ、ってことなのかも知れません。


読みやすいにも関わらず奥の深い本(←皮肉じゃないよ)、また所謂モデル系関係者の思考回路を垣間見る意味でも面白い本だと思いましたのでご紹介でした。




(念のため追記)
なお、本書の検証期間(2009年2月まで)以降現在までの短い期間だけの成績を抽出すると結果は少し異なります





2 件のコメント:

チェキ さんのコメント...

「トレンドフォロー戦略はトレンドが強く発生する対象を選ぶ戦略。」みたいな記述ををどこかで見た気がします。

トレンド出やすい銘柄選択ができれば後は何でもええんだよ。が肝かもですね。

はたふり川 さんのコメント...

チェキさん、
そういうことですよね。あとは時期。
まぁそれが難しいわけですが努力の方向を間違えがちですよね。
本書にも「存在するはずのないトレンドから無理にリターンを搾り取ろうとデザインすると、」と自戒っぽく記述されてました、笑